SAKURAカメラスリング沖縄プロジェクト 生地探しの旅 in 沖縄 report by 水咲奈々

サクラカメラスリングプロジェクト沖縄

おしゃれなデザインとカメラの重さを感じさせない形状、ポケットに小物をしまえたりカメラをくるんで持ち運ぶこともできる高い機能性で、女性はもちろんのこと男性の愛用者も多いストールのようなカメラストラップのSAKURA(サクラ)カメラスリング。このSAKURAカメラスリングの生みの親であり株式会社Sakura Sling projectの社長でもある杉山さくらと、株式会社プロ機材ドットコムの社長、森下千津子がタッグを組んでSAKURAカメラスリング沖縄バージョンを製作することになった。今回は、製品製作の要でもある生地選びの旅を、製品への思いのインタビューを交えながらお送りしよう。

目指すは沖縄!生地の街・牧志!

2016年12月某日、午前中の打ち合わせが伸びてしまったためタクシーに飛び乗り息も絶え絶えに空港に辿り着いた杉山社長と、同じく午前中の作業が押して電車の中で足踏みをしながら空港入りした水咲は森下社長の待つ沖縄を目指して機上の人となった。私たちが目指すのは那覇市の牧志公設市場(まきしこうせついちば)。公設市場といえば食料品の販売を主とした「第一公設市場」が有名だが、今回は食い気を封印してその近くにある衣料部で沖縄ならではの生地を探すのである。

集合写真:(左から)森下千津子(株式会社プロ機材ドットコム)、杉山さくら(株式会社Sakura Sling project)、水咲奈々(写真家)

私たちが着けているカメラスリングとスカーフスリングは、沖縄在住の森下社長がサンプルとして送った生地を使って杉山社長が製作した試作品だ。それぞれに似合うデザインを杉山社長にセレクトしてもらった。特に沖縄らしい色柄の試作品なのでどこに行っても私たちは目立ち、とあるお土産物屋のおねえさんには「どこで売っているの?」と尋ねられ、とある居酒屋のおじさまには「君たちミス沖縄なの?」と声をかけられた。

サクラスリングオキナワ記事選定

牧志には着物やエイサーなどの衣装に使う生地を反物で売っている店が集まっている市場がある。ここでカメラスリングに使う生地を探すのだが、市場というだけあって反物の数は半端なく多い。選択肢が多すぎて私たちは嬉しい悲鳴をあげることになった。

サクラスリングオキナワ記事選定

〜Intermission〜 杉山さくら社長に突然インタビュー!

杉山さくら社長

杉山さくら社長(株式会社 Sakura Sling project)

− スリングに使用する生地はいつも自分で選んでいるんですか?(以下太字:水咲奈々)

杉山:はい。色や柄だけではなく直接肌に当たるものなので実際に触って、自分の手と目で確認しています。

− このような特定の地域とのコラボ企画は初めてですか?

杉山:そうです、第一弾ですね! 日本をはじめとするアジアは生地の産地と言われていて、色々な土地でその風土に合った生地が作られているんです。そこで生まれた生地を使って、その土地のイメージに合ったカメラスリングを作るのって面白いんじゃないかなって思いました。

− 今回の沖縄バージョンの生地選びで特に気を付けた点は?

杉山:使っているときの暑さを解消することです。ストールの形状なので首元に熱がこもりやすいのでそれをなるべく解消して、暑い沖縄の土地でも快適に使ってもらえるような生地を探しました。たとえば、かりゆしの生地はみなさん着ているだけあって涼しくて快適なんですが、麻が入っているのでハリがあり過ぎてスリングには向いていませんでした。でも、夏の着物に使われる紗(しゃ)や絽(ろ)のような涼しい織りの生地を使うと、見た目も使用感も涼しさが得られるんです。

− この沖縄バージョンのカメラスリングをひとことで言い表すと?

杉山:千津子さん(※森下社長)との出会いでインスピレーションを得た沖縄バージョンなので、すべてのデザインに沖縄の海をイメージした青色を組み合わせています。沖縄に住んでいる方が快適に使えるように涼しさを感じられるようにしましたが、沖縄ならではのゆったりとした、癒されるような緩やかな時間の流れ、海の穏やかさ、南国ならではの開放感を身に着けて、思わず笑顔になってしまうくらい楽しく写真を撮って欲しいと思います。

広げる、触る、伸ばす、当てる、組み合わせる

今回の沖縄バージョンのカメラスリングは4種類作ることになっている。SAKURAカメラスリングは2種類の生地を組み合わせて作られているので全部で8種類の生地を選ばなければならない。杉山社長はめぼしい生地の反物を広げ、指で触り、伸ばし、2種類の反物を体に当ててみては組み合わせを考えていた。

サクラカメラスリング沖縄生地選定

生地によっては柄が均一ではなく左右に偏っている物もあり、そのようなものだとスリングにしたときに一部分にしか柄が出なかったりしてしまう。また、生地が硬いと地肌が擦れて痛くなってしまう。今回は暑い土地でも快適に使用できるスリングにしたいという趣旨もあり、伸ばしたときに透けるような空気の通りの良い生地は実際に触ってみないとわからないのだということを杉山社長の生地選びを見ていて実感した。

サクラカメラスリング生地選定

〜Intermission〜 森下千津子社長に突然インタビュー!

森下社長_プロ機材ドットコム

森下千津子社長(株式会社 プロ機材ドットコム)

− なぜ沖縄バージョンのカメラスリングを作ろうと思ったんですか?

森下:私は実は沖縄出身ではないんですよ。縁あって沖縄の企業で働いているだけで。でも、もう東京には戻れないくらいこの土地に魅力を感じています。ここって時間の感覚がリゾート地そのもので、時間の流れ方が東京とは全然違うの。ゆったりというか、ゆるいというか、ゆるゆるというか。この感覚に慣れちゃったら東京の満員電車にはもう乗れない(笑)。そんなゆるゆるな沖縄でカメラを持って写真を撮って回るならぜひ沖縄産のカメラスリングを使ってもらって、もう一歩沖縄に近付いてもらえたら素敵だと思ったんです。

− 実際に生地を探してみてどうでしたか?

森下:さくらちゃん(※杉山社長)の生地へのこだわりにびっくりしました。反物を広げて、触って、生地を伸ばして、体に合わせて…いろんな方向から生地にアプローチしている。どんな生地がスリングに向いているかとかは事前に聞いていたのですが、実際に一緒に生地選びをすると向いている生地、向いていない生地を身をもって知ることができました。

− この沖縄バージョンのカメラスリングをひとことで言い表すと?

森下:沖縄の売りというとやっぱり海なんですが、海の色は沖縄の中でも本島の北や南、離島などで全部色が違うんです。この沖縄の様々な海の青を4種類の沖縄バージョンのカメラスリングに散りばめました。海を感じさせる土地=沖縄のイメージをこのカメラスリングのデザインの中から感じてください。

いよいよ製作へ!

沖縄バージョンのカメラスリングに海のイメージを統一して入れるスタンスが決まったのは実は生地選びの段階だ。沖縄ならではの色鮮やかな紅型やミンサー柄の生地を見ているうちに、選ぶどの生地にも青が入っていたり、青と組み合わせるとぴったりくることに気が付いたのだ。諸説あるが沖縄の海の色は石灰の影響で各所で色が違う。そんな海の色の違いを楽しむのも沖縄旅行の醍醐味のひとつだと思っているのは、沖縄好きで年に数回沖縄を訪れている筆者だけではないだろう。

杉山社長の生地選定風景

かくして、布選びの弾丸ツアーは幕を閉じ、沖縄産の8種類の生地たちは東京で杉山社長の手によって生まれ変わることになった。杉山社長のこだわりと、森下社長の沖縄への思いがつまったSAKURAカメラスリング沖縄バージョンがどのように仕上がったかは…次号でお送りしよう!

おまけ

弾丸ツアーと言いながらもしっかり撮影も楽しみましたよ!食い気もね!

Profile

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水咲 奈々(みさき なな)

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。

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