
料理の写真を撮るときは、白いお皿が真っ白に写るようにホワイトバランスを調整することが多いのですが、料理によっては少し赤みを増して暖かい色味で撮ったほうがいい雰囲気になることがあります。今回は和食をほっこりとした優しいイメージで撮ってみましょう。
内蔵フラッシュは使わないで!
まず、どんなカメラでも内蔵フラッシュを使うのはやめましょう。狭い範囲の強い光が被写体に当たるのでNGカットのような手前だけ明るくて奥が暗い、ガラスに光が反射した硬いイメージの写真になってしまいます。
とはいっても、昼間の窓から自然光が入ってくるような明るいカフェでしたら問題はありませんが、夜や窓から遠い暗い室内で撮影するときはどうすればいいでしょうか。今回は夜に自然光がまったくない薄暗い店内での撮影となかなか難しい状況でしたが、小型のLEDライトに助けられました。
フラッシュのようにシャッターを押すたびにパカパカと光らないので、撮影していて疲れにくいのもメリットです。

LEDライト使用
横長のLEDライトは広い範囲を明るく照らしてくれるので器も含めた料理全体をしっかり撮ることができます。

【NGカット】内蔵フラッシュ使用
光の入らない暗い店内だとつい使いたくなる内蔵フラッシュは料理撮影では使わないようにしましょう!

撮影状況
料理写真は斜め上から撮ると自然な立体感を演出することができます。
クールに撮る? ほっこり撮る?
カメラのホワイトバランスの設定を変えることで青味を強くして白色を更に白く表現してクールなイメージにしたり、赤味を強くして暖かいイメージにすることができます。カメラによって色味は少し変わりますが、一般的にホワイトバランスを電球にすると青っぽく、晴天にすると赤っぽくなります。
「ホワイトバランスとか言われてもわからない」、「スマホだから調節できない」そんな場合はこのLEDライトで色味を変えることができます。製品の裏面に3200K〜5600Kと書いてあるダイヤルがあります。これを3200Kの数字が小さいほうに回すと赤っぽく、5600Kの数字が大きいほうに回すと青っぽくなります。これでホワイトバランスを知らなくても簡単に写真の色味を変えることができます。今回の被写体は和食で優しいイメージだったので、少し赤味のある色合いが素敵だと思いました。

色味変更ダイヤル
色味と光量のダイヤルが製品裏面にまとめられているので操作がしやすい!
右側の0〜100%のダイヤルは光の量を調節できます。もし明るすぎると感じたらダイヤルを反時計回りに回して調節しましょう。明るさは肉眼よりも実際に撮った写真を見たほうが判断しやすいですよ。
ダイヤルを3200Kのほうに回すと赤味のある光になります。カメラから取り外して単体でも光らせることもできます。
5600Kのほうにすれば青味のある色に。微妙な色味の調節もダイヤルの回し加減で簡単にできます。
見た目よりもほんの少し赤味を増したほっこりカット。
下に敷いた白い和紙が白く写るように青味を増したクールカット。
料理の主役、トマトにクローズアップ
水滴が付いているトマトを主役にして近付くことで前後のボケも大きくなるので標本写真から抜け出すことができました。
斜めから撮って立体感アップ
ふんわりと盛ってあるような料理は真上から撮ると立体感が損なわれてしまうので斜め45度上から撮りましょう。

【NGカット】
器全体を入れようとすると真上から撮りたくなりますが、そうするとせっかくの盛りが見えなくてべちゃっとした写真になってしまいます……。
ムード作りに小物も使ってみましょう!
トレイの形が面白かったので構図内に入れて背景ボケとして使いました。

【NGカット】
かわいいトレイなので全体を入れたくなりますが引き過ぎると肝心の主役が小さく写ってしまうのでクローズアップするポイントを決めて近寄ることで主役のデザートの印象を高めましょう。
今回撮影したお店のように、雰囲気はとてもいいのだけど店内が暗くてうまく撮影できない、暗くて手ブレ写真を量産してしまう、ストロボをパカパカ光らせるのは他のお客さんに悪くて…という場合は、このような気軽に持ち出せる小型のLEDライトがあれば誰でも簡単に明るく、さらに色味を変えたムードある写真を撮ることができます。でも、小さいながらかなりの光量なので撮影前にお店の方と近くのお客さんにひとこと撮影のお断りをしてくださいね。
撮影協力:
円満
記事中で紹介した商品
記事中で紹介、使用した撮影グッズについては、Kireidori運営会社で、プロ用撮影機材の老舗「プロ機材ドットコム」のページにてご購入いただけます。
Profile

水咲 奈々(みさき なな)
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。
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