スカートを着て水族館に行こう!

スカートを着て水族館へ行こうTOP画像

水族館撮影で多いお悩みが「暗くて撮れない」、「水槽越しの撮影なので色々なモノが反射して写り込んじゃう」、「魚が元気良く動き回っていて写し止められない」などになります。ですが、ちょっとのカメラ設定と撮影の工夫で解消できてしまうことも多いんですよ。今回は水族館での撮影テクニックのお話です。

暗くて撮れないときは…

水族館の館内は大体暗いです。そこで撮影するとなるとISO感度を上げる必要があります。撮影のセオリーとしてISO感度は撮影できるぎりぎりの低い数値で撮影して画像の荒れを防ぐものなのですが、肝心の撮影ができなければ意味がありません。オートを使用してカメラに自動的に上げてもらってもいいですし、自分で水槽ごとに設定してもいいのですが、画像の劣化が著しくなるような感度(たとえば「Hi 1」などと数字だけではなく、ローマ字で表記されているような拡張感度)は使わないようにしましょう。

クラゲの画像

半透明の体を持つクラゲの水槽は青や赤、緑など色の変わる照明で演出されていることが多いので同じクラゲでもカラフルに撮り分けることができる楽しい水槽です。

最大のお悩みは‘写り込み’

水族館撮影の最大のお悩みは‘写り込み’です。撮影をするのはすべて水槽越しの魚なので水槽のアクリル面に写った向かい側の水槽の照明や非常口マークが写真に写り込んでしまう可能性がとても高いのです。そうならないためにはなるべく水槽に近付いて撮るといいのですが、レンズにスカートを履かせてしまう手もあります。

NGカット映り込み有り

【NGカット】

右上に向かい側の照明が写り込んでしまったNG例。こんな風にわかりやすい写り込みもあれば撮っているときは気が付かないような写り込みもあるので必ず再生して四隅を確認する癖を付けましょう!

スカートを着るのは誰?

jyokyo01

レンズスカート

このレンズスカートは、カメラのレンズ部分を覆うように装着するだけで写り込みをカットしてくれるので水族館撮影はもちろん、ガラス越しの夜景を撮るときにとっても便利なんです。22.9×25.4cmと広げると自分の顔がすっぽり入るくらい大きいのですが、4分の1サイズに折り畳むことができるのでバッグ内のスペースも取らず気軽に持ち歩くことができます。
ここではわかりやすくライブビューで表示していますが、通常はファインダーを覗いて撮影しています。

jyokyo02

吸盤部分折り返し時

吸盤部分はしっかりと外側に折り返すことができるので撮影時にも邪魔になりません。

通常でしたら先端に付いている4つの吸盤を窓や水槽にくっつけて撮影するのですが、水族館では泳ぎ回っている魚に合わせて自分も動かなくてはならないのと、たとえ一部分でも水槽を占領してしまうのは他のお客様の迷惑になるので、吸盤部分を外に折り返して内側の布の部分を水槽にくっつけるようにして使用することをおススメします。柔らかい布製なので丸い形の水槽にもフィットしてくれるのが素敵!

写し止めるためのカメラ設定

生き物だけにじっとしていない魚を撮るためにはカメラ側の設定も必要になってきます。一眼レフカメラでしたらシャッター速度優先オートか絞り優先オート、もしくはプログラムオートを使用して撮影しましょう。フルオート設定ですと暗い室内での撮影なので内蔵フラッシュが勝手に光ってしまう可能性がとても高いです。フラッシュは水槽によっては禁止されていますし魚のストレスになるので遠慮して頂きたいのと、自分の光が水槽に反射してしまって大きな光の写り込みを作ってしまうのでメリットはありません。

水槽の明るさにもよりますが、シャッター速度優先オートで撮影する場合は、シャッタースピードを1/125秒くらいから撮り始めてブレるようでしたら写し止められるスピードまで速くしていきましょう。絞り優先オートとプログラムオートで撮影する場合は、Fの数字が一番小さい絞り開放から撮り始めて魚の体をどこまでシャープに写すかと相談しながら少しづつ絞ってみてください。

水槽の同じところをくるくると回っているような魚やゆっくりと漂うクラゲは動きモノ撮影に慣れていない方も撮りやすい被写体です。

見たままよりも感じたまま撮ってみよう!

水族館撮影で陥りがちなのが標本写真ばかりになってしまうことです。魚の体全体がしっかり写るように、明るさと色味は撮影したときと同じに…と、しっかり再現するのはいいことなのですがそればっかりだと同じような写真を量産してしまいます。せっかく水族館というレジャースポットにいるのですから写真にも遊び心を持ってみましょう。

背景を見た目よりも暗くして魚が浮かび上がるようにしたり、ホワイトバランスを変えて青味を強くしてみたり、水槽内のサンゴや小道具を構図内に入れてみたり、自分が綺麗、面白いと思ったことを写真の中に残すように撮ると一層楽しく撮影ができますよ!

普段は明るめに写真を撮ることが多いと思いますが水族館写真は露出を少しマイナスにして暗めに撮ると格好良く仕上がることが多いです。このカットは魚の背景を暗く落ち込ませて空中浮遊のようなムードにしてみました。

目が離れている魚の真正面の顔はとってもキュート! 魚は意外と水槽のこちら側に真正面の顔を見せてくれることが多いので、ぜひおもしろかわいい真正面顔カットを撮ってみてください!

水族館は季節毎に様々なイベントや展示を行っています。このときは金魚と江戸切子のコラボ水槽があったのでニッポンらしいカットを撮ることができました。

いかがでしたでしょうか。スカートをカメラに着せることで今まで撮影できなかったような映り込みの無いキレイな写真が撮れますよ。また、水族館だけでなく、ガラス越しでの撮影に効果を発揮するので、展望台やロープウェイから窓越しに風景を撮影する時にも威力抜群!なので、旅行に行くときはカバンに忍び込ませておくと活躍しますよ。

記事中で紹介した商品

記事中で紹介、使用した撮影グッズについては、Kireidori運営会社で、プロ用撮影機材の老舗「プロ機材ドットコム」にてご購入いただけます。

レンズスカート

プロ機材ドットコム
価格 : 9,180円(税込)

Profile

misaki_miniphoto

水咲 奈々(みさき なな)

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。

■Official Web Site http://misakinana.com
■Twitter _NanaMisaki_
■Instagram _nana.misaki_