
最近は誰でも気軽に出品できるオークションアプリやハンドメイドの作品を販売できるサイトが多くなり、みなさんも一度は目にしたり実際に売買をしたことがあるかも知れませんね。商品を実際に手に取って見られないインターネット上の販売方式ですと、その商品の写真がとても大事になってきます。今回は、スマホで小さな作品を撮影するコツをありがちな失敗例と共に解説していきたいと思います。
失敗あるある その1

【NGカット】
よくある失敗で、明るく撮ろうとして窓辺で撮影したものの、逆光(被写体の小物の後ろ側に太陽がある状態)で商品自体が暗く写ってしまいました。また、明るさを求めるあまりレースのカーテンを全開にしたので網戸のアミアミがテーブルにしっかり映り込んでしまいました。商品の前に長く伸びる影も怖いし、薄ら暗いなかで微笑んでるパンダも怖いし、せっかくかわいい小物なんだからもっとかわいく写してあげましょう!
失敗あるある その2

【NGカット】
横に寝ていた商品を少し起こしたので、商品の正面に日が当たってパンダの顔が明るくなりましたね。でも、網戸のシルエットはまだ残っているし、前に長く伸びた影も見る人の目が商品に行かなくなるので邪魔です。商品撮影の基本は見る人の目を商品そのものに引き付けることです。構図内に邪魔なものが写っていると、たとえ影でも人の目や意識はそちらに持って行かれてしまうので損してしまいますよ。
失敗あるある その3

【NGカット】
ただテーブルに商品を置いただけの撮りっ放しの状態から少し進化しましたね。下に敷いたマットのお陰で網戸の影を消すことに成功しました。ですがちょうど暗いところに商品のポイントでもあるパンダの顔が入ってしまっていて、チューブは光って白トビしているのにパンダの顔は暗いという何とも残念な結果となってしまいました。それにマットはもっとかわいらしい色や柄のほうがこの商品には似合っていませんかね?
失敗あるある その4

【NGカット】
どんどん進化していますよ! 下には明るい布を敷いて、全体が明るくなるように自分が太陽を背にした順光で撮影しています! ……ですが、布にはアイロンを掛けたほうが良かったんじゃないでしょうか。それと、商品に光が当たるようにという心掛けはいいのですが、自分の手が影で写ってしまっています。そしてチューブの「Panda」の文字が光って読めません。がんばって進化しているだけにダメ出しはしたくないのですが……。
助けて!パラソライト!
もう家で撮影なんてできないよ!プロじゃないんだし綺麗な写真なんて無理!なんて思ってしまった方、とっても簡単にプロ並みの写真が撮れてしまうお助けグッズを紹介しましょう。
このパラソライトは撮影用の蛍光灯を内部に付けて、傘のように商品にかぽっと被せて使用します。光を拡散させる中間ディフューザーも付いていますので、柔らかい光を商品全体に回すことができます。なにより外からの光や影の影響を受けないので、もう網戸のシルエットや光り過ぎて商品の文字が読めなくなるようなこととはサヨナラです。
そして一緒に使って頂きたいのがこのグラデーションペーパー。これがあれば布のアイロン掛けから解放されます。通常は奥行き感を出すためにグラデーションの差がある部分を使用するのですが、このような小さな小物をかわいらしくカラフルなイメージにしたいときは色の濃い部分を、優しいイメージにしたいときは色の薄い部分をというように、イメージに合った色の濃さを背景に使用するといいでしょう。
お助けグッズの力を借りればこんなかわいらしい写真も簡単に撮れてしまします。背景紙のオレンジ色がパンダの顔に強く写り込まない位置を自分や商品を動かして微調節して探しましょう。スマホの場合は見た目よりもほんの少し明るくなるように明るさ調整をするとさらにキレイな写真になります。
ありがとう!パラソライト!
初心者さんでも簡単に綺麗な商品撮影ができてしまうパラソライトなので、興味を持った方はきっと多いと思います。ここで、実際に使用するときにセッティングで困らないように組み立て方を紹介します。こちらをご覧になれば、撮影グッズの初心者さんでも簡単にセッティングができますよ!
まずは折りたたみ傘のようにコンパクトにたたまれている傘を広げます。
中央部の電球ソケットの枠にはめるようにぐっと押し込みます。
唯一、力のいるのがこのはめ込みなので、力の入りやすい利き手で行いましょう。
中央のソケットに電球をくるくる回して付けます。
光を拡散させる中間ディフューザーは必ず付けましょう!
好みのグラデーションペーパーの上に開口部が前になるように設置します。
撮影する開口部を開いて設置完了です!
おまけ 〜こんなとき、どうするの?〜
手のひらサイズの小物でしたらパラソライトをかぽっと被せる形で撮影ができるのですが、少し高さのある商品だとパラソライトの裾が写り込んでしまいます。こんなときは、パラソライトのもうひとつの使い方で撮影しましょう! その方法は…「スマホ de 商品撮影 〜ちょっと大きな物編〜」をご覧ください!
記事中で紹介した商品
記事中で紹介、使用した撮影グッズについては、Kireidori運営会社で、プロ用撮影機材の老舗「プロ機材ドットコム」にてご購入いただけます。
Profile

水咲 奈々(みさき なな)
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。
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