
「スマホ de ハンドメイド小物撮影」では手のひらに乗るサイズの小さなサイズの商品の撮影をしてみました。ですが、撮影する商品がいつも小さいとは限りませんよね。今回は40×35cmの少し大きな商品をスマホで撮影するコツを、ありがちな失敗例と共に解説していきたいと思います。
失敗あるある その1
床に置いて立って撮影。う〜ん、これでは商品の形が縦長なのか、横長なのかも分からないし、見た目のイメージも生活感が出過ぎていて綺麗じゃないですね。そして、四隅をちゃんと見ていないので家具が見切れちゃっています! ダメ、そんなの絶対、ダメ!
失敗あるある その2
全体を見せようと床に置いて覆いかぶさるように撮影。さっきよりも全体の形が見えやすくなりましたね。これでこのバッグがバーキン型だということがわかりました。ただ、商品に自分の影が被ってしまっているので、肝心のカラフルな絵柄が暗くなってしまってあまり魅力的に見えません。そろそろ床から離れてもっと明るい所で撮影しましょう。
失敗あるある その3
シルエット……怖いです。明るい所ということで窓際に来ましたが、逆光(撮りたい被写体の後ろ側に光がある状態)で撮影したため、商品の前面が影になってしまって真っ黒に写ってしまいました。そして横位置で撮影しているために左右にいらない余白ができて、カーテンの裾など邪魔な物まで写り込んでいます。商品撮影は商品以外の物は不要としてなるべく排除したほうが見る人の目を主役の商品に引き付けることができます。
失敗あるある その4
スマホでも明るさは簡単に変えることができます。先ほどの暗く写っている商品にピントと明るさを合わせることで背景はさらに明るくなって白トビしましたが、肝心の商品はぐっと明るくなって絵柄が見えるようになりました。このような逆光での撮影はポートレートなどには向いているのですが、商品の色や形をはっきりと見せたいときは、被写体の真上、もしくは斜め前も含む前方から光が当たる状況で撮影するほうがおススメです。
ここでも頼れる、パラソライト!
「スマホ de ハンドメイド小物撮影」で登場したパラソライトがここでも役に立ってくれますよ! 小物を撮影するときはパラソライトの傘の中に商品を入れて撮影しましたが、入らないような大きな物を撮影するときはスタンドに取り付ければソフトボックスとして使用できます。ソフトボックスとして使用するときは内部の中間ディフューザーだけではなく、付属の大きなディフューザーをボックスの前面に付けましょう。光を拡散させることで背景に不要な影が出ることを防いでくれます。
使用したスタンドは72〜240cmまで伸縮する軽量なアルミスタンドです。パラソライトも折り畳むととってもコンパクトになるので、このふたつを常備しておけば小さな物から大きな物までスマホでも手早く綺麗な写真を撮ることができます。
大物撮影ではソフトボックスに変身させてあげましょう!
パラソライトの基礎的な使い方が傘の中に商品を入れる撮り方だとすると、今回のようにソフトボックスとしてスタンドに付けて使用するのは応用編……う〜ん、難しそう……なんて思った方はこちらをご覧ください。
まずは折りたたみ傘のようにコンパクトにたたまれている傘を広げます。
中央部の電球ソケットの枠にはめるようにぐっと押し込みます。
唯一、力のいるのがこのはめ込みなので、力の入りやすい利き手で行いましょう。
中央のソケットに電球をくるくる回して付けます。
光を拡散させる中間ディフューザーを内部に付けます
付属の大きなディフューザーをボックスの前面にマジックテープを貼って付けます。
アルミスタンドを伸ばします。下の太い所から順に必要な高さまで延ばすと安定感が増します。
ソフトボックスに変化を遂げたパラソライトをアルミのスタンドにグサッと突き刺すように差し込みます。
パラソライトのつまみを回してスタンドに設置しましょう。
パラソライトの傘に近いほうのつまみを回すとライトの角度を変えることができるので商品に光が当たるように調節してください。
ライトのセッティングができたら商品の形を整えてから撮影しましょう。ここでは商品の色や形をはっきりと見せたいのでライトは斜め前から当てています。また、商品に対してなるべく平行になるような位置から撮影すると歪んだりしない商品の正しい形を写し取ることができます。
派手かわいいバッグなので背景紙はグリーンにしてみました。グラデーションが施されているので照明で工夫しなくても簡単に奥行き感を出すことができます。
ね?とっても簡単にセッティングできてしまうんですよ! このソフトボックスならポートレート撮影もできちゃいます。ご自宅にプチスタジオ設置なんていかがですか?
記事中で紹介した商品
記事中で紹介、使用した撮影グッズについては、Kireidori運営会社で、プロ用撮影機材の老舗「プロ機材ドットコム」にてご購入いただけます。
Profile

水咲 奈々(みさき なな)
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。
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